東京有数の歴史ある教会
東京・JR飯田橋駅西口を降りると近年ここは再開発地域としてオフィスビルや高層マンション、大学などが整備され目を見張るばかりの変貌ぶりです。
富士見町教会はこの小さな四つ角の角地に100年以上も歴史を見守ってきた教会です。
教会創立の当初は麹町一番町の借家に始まり、1887年末には麹町区一番町48番地に教会堂を建てて、移転し、そこが手狭になったため1906年には富士見町(現在千代田区富士見)に移転し、会堂を新築しましたが、1923年の関東大震災で会堂は全焼してしまいました。
そこで宮内庁から払い下げを得た現在地に1929年会堂が再建されました。長く親しまれた会堂でしたが、老朽化のため1985年に近代的な会堂に一新しましたが、2013年には飯田橋駅西口地区の再開発にともない現在の場所に新会堂を改築したとのことです(同教会ホームページ参照)。
美しいシルエットの教会建築
新しい教会堂は二等辺三角形の鋭角さが際立って美しく映えています。先端の十字架部分までは地上から23メートル。教会は再開発によって造られた広場のため、少しだけ奥まったところに移りましたが、毎朝多くのビジネスマンや学生がこの教会前の広場を行き交う風景は壮観です。
ガラス張りになった教会は開放的な空間を生み出しています。鉄筋コンクリートと鉄骨で構成されています。極めて耐震性、耐久性に優れた建築物です。
極めてシンプルさを大切にした内陣
この教会はプロテスタントの日本基督(キリスト)教団に属し、その中心的な教会ですが、伝統的には長老派・改革派の系譜に属する教会です。同派の伝統にならい、礼拝堂は三角形のシンメトリーが美しいものですが、簡素そのもので十字架も掲げられておりません。説教卓、聖餐卓、洗礼盤そして後部のギャラリーには大規模なパイプオルガンがしつらえてあります。時代は変わっても東京の中心部にあって今日も行き交う人を優しく手招きするような教会堂です。
〈メモ〉
東京都千代田区富士見2-10-1
JR・各地下鉄「飯田橋」駅西口すぐ
東京ろまん建築巡礼
東京 建築
建築案内人の記事
東京ろまん建築巡礼・日本基督教団富士見町教会