Web読み物「おきまちがえたプレゼント」④
Web読み物「おきまちがえたプレゼント」です。クリスマスのオリジナル童話をお届けしていきます。
今回は最終回です。
Web読み物「おきまちがえたプレゼント」
子どもの大きなゾウは、ふしぎに思いながら、ふくろうおばさんのいうとおりにしました。
森のネズミたちは、山のような野菜でつくったクリスマスツリーをかこんで、クリスマスのお祝いをしています。
ゾウは、小さなネズミたちをふまないように注意しながら、ちかづきました。
「このクリスマスツリーは、ネズミさんたちがつくったの? どうやって、こんなに野菜をあつめたの?」
いっぴきのネズミが、こたえていいました。
「サンタさんが、プレゼントしてくれたのさ。どうだい、りっぱだろう」
ネズミたちのうれしそうなようすを見て、子どもの大きなゾウも、たのしくなりました。
「そうだ、ぼく、このクリスマスツリーに3つの赤い実をかざろう。なにしろ、ピカピカつやつや光って、真っ赤で、とってもきれいだから」
ネズミとゾウのきょうりょく
ネズミたちは、ゾウのおもいつきによろこびました。
「なんて、すてきなことを考えるゾウだろう」
赤い実はたった3つでしたが、ピカピカつやつや光っているので、とてもきれいな飾りになりました。
ネズミたちとゾウが完成させたクリスマスツリーは、森のなかでうわさになりました。
夜には、森じゅうの動物たちがあつまって、クリスマスツリーをかこんで、わいわい、たのしくすごしました。
おきまちがえたプレゼントは
クリスマスのしごとをおえて、ほっとしていたサンタさんが、この光景を見たおどろきを、どういいあらわしたらよいでしょう。
いつもはしずかな森が、なにかさわがしいような気がするのです。
森のまんなかのあたりに、3つのピカピカ光る、赤いなにかが見えます。
「どうしたことだろう。夜なのに、動物たちは眠っていないようだ」
ドキドキ、むなさわぎがして、サンタさんは森のようすを見に行って、じぶんの失敗にきがつきました。
「やや、しまったぞ。3つの赤い実を、ゾウにプレゼントしてしまったにちがいない。山のような野菜を、きっと小さなネズミにプレゼントしてしまったのだ。それで、ネズミとゾウは、食べられずに、けんかをしているにちがいない」
サンタさんがいそいで森におりていくと、動物たちはだれも、けんかなどしていないことがわかりました。
動物たちは、クリスマスツリーがりっぱだから、サンタさんまで見にきたのだろうと、よろこびました。
「あのときは、失敗したけれども、よい思い出になったんだよ」
サンタさんは、じぶんの失敗を照れながら、かたりました。
「そのあとに、ちゃんと、ネズミとゾウに、プレゼントをおきまちがえたことを伝えたんだ」
小さなネズミはピカピカつやつや光る赤い実を、大きなゾウは山のような野菜を、仲良くいただいたそうです。
<おわり>
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