「菊花展」を楽しもう!~歌を思い出しながら~ 「菊花展」池上本門寺にて開催中! 菊 歌 ザッツニュース
「菊花展」を楽しもう!~歌を思い出しながら~
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2012-11-04 大田区おすすめ女子
「菊花展」池上本門寺にて開催中!
11月に入ると、東京各所で菊花展が開催される。菊花展では、菊の美しさはもちろん、様々な趣向を凝らした職人技を楽しむ人も多いのではないだろうか。
大田区池上にある池上本門寺では、東京菊友会による菊花展が開催中!
※10月29日(月)~11月22日(木)まで。時間は午前9時~午後4時。
池上本門寺仁王門から大堂へ向かうと、菊花展会場が見える。崖から滝の落ちる様子を菊の花で表現する「懸崖づくり」、その他こんもりと丸い形をした菊「厚物」や、厚物の下部に長い花弁が垂れ下がる「厚走り」、花火のような「管物」など。様々な色、趣向を凝らした菊の花が展示されている。
「菊花展」歌で感じる季節
11月は秋から冬へと季節が移り変わる時期で、急に冷え込むことも多い。菊花展は秋の花イベントのイメージが強いが、そろそろ霜のおりる季節。
私は寒空の下、美しい白菊を見ると思い出す歌がある。
霜を待つ まがきの菊の 宵のまに おきまよふ色は 山のはの月 宮内卿
(新古今和歌集・巻第五・秋歌下)
訳・明け方、霜がおりるのを待っているような垣根の白い菊。宵のうちから、霜のような美しい白色のままでいようかどうしようか迷っているその菊の色は、山の端から出た月の色であったのだ。
古来、仙界の花とされる菊は、霜にあうと紫色に変色し、二度美しさを呈するといわれていた。そのために、菊が白いままでいようかどうしようかと、宵のうちから迷っていたらしい。この歌は、菊の白い色を月光に喩えているところが非常に美しい。
こんな歌を思い出すと、池上本門寺の菊花展は午後4時までだが、夜に菊花展を鑑賞してみたくなる。昔は花のライトアップなどなかったから、きっと月光に照らされた白菊が、特に際立って美しく見えたのだろう。
百人一首にも菊を詠んだ歌が
百人一首の歌の中で、菊について詠まれた歌はただひとつ。
二十九番
心あてに 折らばや折らむ 初霜の おきまどはせる 白菊の花 凡河内躬恒
(古今和歌集・巻第五・秋歌下)
訳・あて推量で折ったら折れるだろうか。初霜と見分けのつかない白い菊の花を。
凡河内躬恒が白菊の白さを賛美している歌だ。
李白の「静夜思」には「牀前月光を看る、疑ふらくは是れ地上の霜かと」という句がある。かつて凡河内躬恒も李白も、静かな夜、白菊の花を月明かりに照らして楽しんだのだろうか。
菊の花言葉は「高尚」「高貴」。
花のイベントに行く際に、私は花言葉や、花の登場する物語、和歌等を調べていく。そして花を鑑賞しながら、言葉なり物語を思い出して楽しんでいる。
歌にのせて楽しむ菊花展。
菊の花をみながら「風流のこころ」を感じてみるのもいいかもしれない。
「菊花展」を楽しもう!~歌を思い出しながら~
菊 歌
季節の移り変わりをゆったりとした時間の中で~菊花展~
池上本門寺での菊花展。
今回は新古今和歌集から、ひとつの歌を思い出しながら菊花展を鑑賞してみました。
最近ではクリスマスやお正月など、イベントで季節で区切ってしまうことも多いのですが、季節ごとの花や、徐々に色づく紅葉など、ゆったりとした時間の流れの中に季節を感じるのも良いものです。
春夏秋冬…季節ごとの花、また紅葉などの自然の呼吸を感じながら、ゆったりとした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。