日本のお祭りには文字が溢れている
夏祭りといえば、肉太の筆文字を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
祭りという字や、町の名の入った提灯、はっぴ、屋台、うちわ。
お祭りに行くと、たくさんの文字が溢れていますね。
力強い「祭り」の文字は、私たちの気分も盛り上げてくれます。
ところで夏祭りには、当たり前のように文字の書かれた提灯が連なっていますが、日本人の文字の多用することに不思議な感銘を受けた人がいました。
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)です。
日本の文字は「生きて」いる
怪談でよく知られる小泉八雲。
小泉八雲は、日本の街並みを眺め、まず文字に注目しました。
著作の中で日本の文字についてこんなふうに書いています。
「日本の文字か中国の文字が書いてあり、そしてそのために、世にも珍しい美しいものになっている」
「意味というものをぜんぜん持たぬ図案とか模様とかいうものには見られない、生き生きとした均斉美がある」(日本瞥見記第一章 極東第一日)
八雲は街の「のれん」や、人々の衣装に文字が書いてあることを不思議に思いました。
そして日本に到着して「混乱とした美」を感じ、その理由は文字にあるとしています。中国の文字(漢字)と日本の文字(ひらがな)の混在が、よほど奇妙に感じられたのです。
私たち日本人は、小さな頃から読み書きしているので気になりませんが、あらためて八雲の言葉を読みますと、不思議なことのように感じられますね。
さらに文字の美しさを人々が競っているようだ、とも書いており、日本人の文字に対する考え方に感銘を受けたようです。
「一個の生きた絵なのだ。その文字は、生きているのだ。物も言うし、身ぶりもする」(日本瞥見記 第一章 極東第一日)
日本の盆おどり
日本の盆おどりについても、八雲は興奮したような様子で記しています。
「なんだか魔法の輪のまんなかに立っている人間のような気がする。じっさい、これは妖術だ。わたくしは今そのあやかしにかかっているのだ」(日本瞥見記第六章 盆おどり)
日本の夏祭り。
昔から続いてきた伝統行事で、私たちにとっては当たり前の光景。
今年の夏も、各地で賑やかな夏祭りが開催されています。
当たり前のように、提灯やはっぴに、今年も威勢の良い文字が躍ることでしょう。
古くから続いてきた日本の「心」に思いを馳せると、今年の夏祭りが一段と違ったものに感じられるかもしれませんね。
日本人の心を感じる夏祭り
日本 祭り
日本人の心を感じる夏祭り
毎年当たり前のように行われる夏祭り。
夏祭りは、夏休みの一大イベント。
私も小さな頃から夏祭り=「楽しい」と思っていました。
日本の外からの視線で、日本の心をあらためて感じる。
いつか読んだ小泉八雲の言葉が強く印象に残り、
それ以来「夏祭り」の印象もグッと変わったのです。